KOA - 北朝鮮帰国事業・拉致問題・北朝鮮人権改善NGO「モドゥモイジャ」
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北朝鮮帰還事業

















概要

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定義

北朝鮮と朝鮮総連が1955年12月から1984年までの間、93,340人もの在日朝鮮人に対し、北朝鮮を「地上の楽園」と虚偽宣伝をし、北朝鮮へ送り出した事業

概説

帰国事業は1958年8月、インド ∙ コルカタにおける北朝鮮赤十字会と日本赤十字社との合意によるもので、1959年12月14日から1984年までの間、93,340人の在日朝鮮人が北朝鮮に送り出された。当事業が始まってから2年間(1958-1961)で北朝鮮に渡った人は、全体の約80%に該当する74,900人に上った。

歴史的な背景

帰国事業の初期段階での北朝鮮は、戦後復旧事業が終了し、1950年代末から「千里馬(チョンリマ)運動」を掲げ、大衆動員政策により成長段階に入った 時期であり、1957年に始まった第1次5ヶ年計画の終了を控えた時期であった。 こうしたことから、北朝鮮には、たくさんの労働者が必要だったと考えられる。また、当時韓国政府は、韓日国交正常化に向けた韓日交渉の真っ只であったため、在日朝鮮人に対する具体的な政策を打ち出せなかった。 韓日国交正常化に向けた会談は、1951年10月から始まり、その主な争点は、植民地支配に対する謝罪と賠償、協定永住権や強制退去といったものだった。 日本は、在日朝鮮人を韓国に移住させたいという思惑もあったが、李承晩 政府は、韓国戦争による廃虚から立ち直っておらず、農村部を中心に過剰な 人口を抱えていたため、在日朝鮮人の受け入れに消極的だった。 一方、日本政府による在日朝鮮人に対する補助金支給は、当時の日本政府にとって大きな財政負担となったことから、帰国事業こそが財政問題を解決する適切な方法だと判断した。 1956年の統計によると、生活保護対象の在日朝鮮人の数は、約9万人(外国人全体の90%)に達し、支援金額も年2億円に上ったという。 こうしたことから、韓日国交正常化の交渉では、帰国問題ではなく、在日朝鮮人が日本で居住できるようにする協定永住権問題が議題となった。結局、 日本政府は、北朝鮮の求める帰国事業を押し進めることになった。

経過

帰国事業のきっかけとなったのは1958年8月、神奈川県川崎市に住んでいた在日朝鮮人が集団帰国を希望したことだったとされる。これを契機に朝鮮総連を中心とする在日朝鮮人の「集団帰国運動」が盛り上がっていった。 これに対し北朝鮮は、同年9月16日、外務省声明を通じ、在日朝鮮人の受け入れを表明した。また、同年11月には、日本共産党や社会党を始め、約80人の政党や団体代表が集まり、「在日朝鮮人帰国協力会」を結成した。 その後、1959年4月のジュネーブ会談に続き、同年8月には、インド∙コルカタで北朝鮮赤十字会と日本赤十字社の間で、「在日朝鮮人帰国協定」が調印された。帰国事業は、同年12月から始まった。 1959年12月から1984年までの長きにわたって推進された帰国事業によって93,340人が北朝鮮に渡り、最初の2年間だけで全体の80%に該当する約74,900の在日朝鮮人が帰国した。 1968年から3年間は帰国事業が一時中断されたが、1971年から再開され、その後15年間、約4,700人もの在日朝鮮人が帰国した。その中には1831人の日本人妻が含まれていた。

結果

その後、日本に残った在日朝鮮人は、北朝鮮を訪問し、家族に会うことができたが、2006年日本政府が対北朝鮮制裁に踏み切ったことから、日本にいる 在日朝鮮人の北朝鮮訪問は難しくなった。 その一方、1965年の日韓国交正常化に伴い、朝鮮籍から韓国籍に変更する在日朝鮮人が増えているが、北朝鮮に渡った家族がいる在日朝鮮人は、家族に被害を及ぶことを懸念し、韓国籍ではなく、むしろ日本籍に変更している。 また、1,831の日本人妻の中で、一部の人による日本(故郷)訪問は実現されたが、未だに大多数の日本人妻が日本に戻ってこれないことから、人道問題として提起されている。 北朝鮮に渡った在日朝鮮人は、政治的、経済的、社会的、その他のあらゆる分野において差別を受けており、その中には、朝鮮総連の告発等により帰国後まもなく強制収容所に送られた人もいる。また、貧困によって餓死した人や、精神疾患によって自殺した人もたくさんいるという。 こうした北朝鮮の現状に対し、国連の北朝鮮の人権に関する調査委員会は2014年2月、帰国問題を人道に対する罪と断定する最終報告書を公表した。





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